じてんしゃの店さいくるりん ホームページトップへ

         


和田虫象 30歳。三度のメシより二度寝が好きなニート気質のフリーライター兼便利屋による体験記。
自転車の店『さいくるりん』でアルバイト体験
◎アルバイト体験日:2011年8月某日
和田虫象 30歳。三度のメシより二度寝が好きなニート気質のフリーライター兼便利屋。
和田虫象 30歳。
三度のメシより二度寝が好きなニート気質のフリーライター兼便利屋。
座右の銘:「すべての道はローマに通ず」
 
※プロフィールサイトは、こちらから☛

  どうも!キツイ・キタナイ・キケンの3K労働を中心に数々の特殊なお仕事をこなしてきたアルバイト体験職人・和田虫象でございます(お仕事体験記『きっついお仕事』鉄人社より絶賛発売中)。今回は過酷な仕事ではなく、自転車の店『さいくるりん』にて2日間一従業員として働き、その楽しさから大変さ、自転車屋業界の意外な裏話まで?レポートしてみたいと思います。 

 安売りホームセンターと自転車店の違い
東武東上線の中板橋駅からほど近い商店街の一角に『さいくるりん』はあった。ママチャリやシティサイクルを中心にずらり150台以上の自転車が並んでいる。まさに「街の自転車屋さん」といった雰囲気だ。

奥の事務所に進むと店長の岡田さんが自転車を運びながら笑顔で迎えてくれた。

「おはようございます。今日からよろしくお願いしまーす」「おはよう。いきなりだけど、品(しな)出しやろっか」

時間は開店10時の10分前。初日くらいはもう少し早めに来るべきだったな。

一息つくまもなく始めた“品出し”は、通路や店の奥の倉庫にしまった自転車を店頭にきれいに並べるもの。不慣れなうちはしばしば他の自転車と接触し傷をつけてしまいがちらしい。傷モノになっちゃいえば値下げしないと売れないという。緊張する~。

「急がなくていいし、慎重にやってね」「はいー」

左手ではハンドル中央を握り、右手は安定のいい荷台かサドル下の金具を持つ。サドル自体を持つと稀に外れることがあり要注意らしい。俺が店の奥にある自転車をそろーりと運び出し、店長が手際よく整列させていく。簡単なようでセンスがいる作業だ。20台余りの自転車を動かし、10時を5分ほど過ぎたところで開店にこぎつけた。

と、そこへ店先に大型トラックが停められた。

「配送がきたね」ドライバーのおじさんは器用にトラックから次々と自転車を降ろしていく。

「今日は6台ねー」おじさんは片手でハンドルをもち、自転車2台を左右に引いて運んできた。

店長も当たり前のように2台引いてくる。残りの2台を俺が、、、引いてこれるはずもなく、1台をおとなしく押す役立たずっぷりでありました。自転車の入荷があれば基本的にすぐ“皮ムキ”の作業にとりかかる。ダンボールやビニールのカバーをむいてすぐに店頭に並べられるようにするのだ。「カバーを取り除いたら、次に・・・」ハンドル・サドルの角度や位置を直し、ブレーキの調整、チェーンの張りやライトの点灯を確認したら5分ほどで一台完了。続いて指導をうけながら俺も一台、すぐ売れる状態に仕上げてみる。

「ブレーキの遊びがありすぎるんじゃない?もうちょっと締めて」「は、はい」

DIYはわりと好きで工具の使用は初心者じゃないつもりの俺だが、時間にして店長の3倍以上時間がかかってしまった。1万円程度の自転車でも案外手がかかるんすね。

「安売りネット通販やホームセンターとかだとちゃんと調整してないし、不良品のチェックもなく売りっぱなしだったりするんだよね」

なるほど。安物買いの銭失いになりかねないわけか。

皮ムキ作業 店長の岡田さん
(写真:皮ムキ作業)

 安全に故障も少なく乗るために
「すみませーん。パンクしちゃったみたいなんですけど」

パンク修理の流れを一通り教わった昼下がり。『さいくるりん』で買ったというママチャリを押してきたのは赤ちゃん連れのお母さんだ。住宅街である中板橋界隈では、平日昼だと主婦か高齢者層がメインのお客さんらしい。

「タイヤも替えたほうがいいのかしら?」
「そうですねー。チューブはチェックしてダメそうだったら交換しときますけど、タイヤはまだ大丈夫そうですね」
「じゃあ、お買い物して30分くらいしたら戻りますね」
「わかりました」

早速さっき教えてもらった成果をみせようと俺が修理にとりかかる。しかしお客さんとの話を横で聞いていて、タイヤも交換しちゃえばもっと儲かったのにと思っちゃう俺だが。

「だめだめ。誠実にやってかないと悪い噂はすぐ広まっちゃうから。サービス第一でまじめにやんないと」

接客やサービスをしっかりしてれば、クチコミで評判が広がったり、家族内でもう一台購入してくれたりするらしい。たしかに、空気入れにくるお客さんにも無料なのにすぐさま店長が出て行って積極的に手伝っている。俺はパンクした後輪をはずすのにてこずりながら、店長の好感接客を眺めた。たしかに愚直に働いて信頼関係を築いていけば売り上げにもつながっていくのかもな。

「でも、さっきのお客さんみたいにある程度お金をかけて、いい状態で自転車に乗ろうって人は少ないのが現実でさ」

大多数のお客さんは車検の必要もない自転車をボロボロになっても手も入れずに壊れるまで乗り続けるらしい。

確かに俺も心当たりがある。後輪ブレーキのワイヤーが切れた状態で走り続け、坂道でスリップして転倒。田んぼに転落したのは高校三年の冬だ。当たり前といえば当たり前だが、自転車も命を預ける乗り物。定期的に整備や修理をしていれば、安全に故障も少なく乗り続けられるわけだ。

俺のパンク修理はやはり思いのほか時間がかかった。それでもゴムのりをドライヤーで充分乾かす点やしっかりと補修パッチを圧着するコツを教えどおり実践したおかげでうまいことできたようだった。あとは元通り後輪タイヤを組み戻すだけ。

「あれ?先にギヤを取り付けるんでしたけ?」
「ギヤは後だよ。ちなみにこの辺は違うね」

取り外すときは適当に進めてもなんとかなったものが、組み立てるのはちょっとしたパズルを作っているようでややこしい。店長が自転車購入客の応対をしている間はまったく作業がすすまない。ネジも長さや形が違いどこのものか判然としない。結局、時間の余裕もなく店長に交代してもらう不甲斐ない俺であった。

 パンク修理中 パッチ圧着中
(写真:パンク修理中)

 イチから自転車を組み上げる
霧雨降りしきる中、出勤した二日目。店長は意外なことを言い出した。

「今日は天気よくないからヒマだと思うし、練習がてらそこらの部品をつかって虫象くんが一台中古自転車を作ってみようか。できたら乗って帰っていいし」
「まじっすか」

捨てる自転車の使える部分や、余っているパーツを使って自転車を一台作り上げるというのだ。おもしろそうじゃん。わりときれいな水色のママチャリの車体をベースにカゴ、サドル、荷台を交換する。タイヤも溝がなくなっているので、別の廃車から流用。チェーンははずして洗浄、オイルを差して付け直し。タイヤチューブやブレーキワイヤーは新品を使わせてもらう。時折お客さんの空気入れを手伝いながら、4時間近くかかって完成をみた。新品同様とはいえないが、サビはほとんどないし、街ノリや買い物には最適。試乗してみるが乗り心地は抜群だ。作り上げる作業は楽しかったし、新しい自分の一台ができるというのは満足感あるもんだなあ。

「自分の自転車をいじってみたり、メンテナンスしたりできるし、自転車好きの学生さんとかバイトしに来ないかなって思ってるんだけどね」

そっかー。ここなら居心地いいだろうな。

「なるべく働き甲斐のある店にしたいと思うの。俺、昔は他の自転車屋で働いてたけど、大きい店だと一日中自転車の箱だしとか“皮ムキ”作業やり続けさせられたりして・・、さすがにそんな毎日じゃ気が滅入るじゃん」

大型自転車専門店だとどうしても販売、修理などで作業分担が進んでいる。特に新人のうちは修理はさせてもらえず、3ヶ月経ってパンク修理さえやったことない店員もいるらしい。

「ウチだと修理はもちろんだけど、仕入れ管理とか責任ある仕事も経験できるから自転車屋で独立しようと考えてる人の修行にもいいと思うんだけどね」

なるほど。そんなわけで『さいくるりん』でバイトしてみたいなって人はぜひ電話してみてください。

バイトとしてはあっという間ではあったけど、パンク修理は覚えられたし自転車も組み上げてゲットしたし充実した2日間でした。
案外私が自転車屋をめざして『さいくるりん』で修行しはじめてたりして・・・。

レンチでタイヤを外す タイヤレバーでタイヤを外す
(写真:レンチでタイヤを外す)

中古自転車の完成車 店舗外観
(写真:完成車!!)


 スタッフ募集
ただいま、アルバイトを募集しています。
詳細やお問い合わせ

copyright©2011 Cyclerin. All Rights Reserved.